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賃金制度改革の方向性
・毎年自動的に賃金が上がるしくみはやめたい・・・
・貢献度の高い社員に高い賃金、貢献度の低い社員は低い賃金にしたい・・・
経営者が賃金制度を変えたいと思うきっかけは、いつの時代も余り変わりません。
「わが社はなぜ、賃金制度を変えなければならないのか?」を明確にし、基本コンセプトを分かりやすい言葉で社員さんへ伝えることが重要で、これが出発点になります。
具体的な制度設計を進める際は、「基本コンセプトを達成するためには、どのような制度が必要なのか?」 ゼロベースで議論する必要があります。
会社の明確な意思がなければ、社員さんが会社と共通の価値観を持ち、同じベクトルで業務をおこなうことはできません。
特に中小企業では、会社の意思が社員さんに上手く伝わっていない、と感じることが多くあります。
報酬制度の柱は3つ
社員さんへ支払う賃金・報酬は、大きく3つの枠組みでとらえることができます。
一般的な考え方として、
1.月例賃金 - 中長期のスパンで社員さんの成長度合いを表現
2.賞 与 - 短期、例えば事業年度の会社の業績を分配精算
3.退 職 金 - 長期勤続奨励のメッセージ
業種、会社の規模、会社の風土などで、3つの報酬をわが社のオリジナルの意味付けをすることが大切です。その結果、退職金はやめて月例賃金と賞与の2つでやろう!賞与はやめよう!といった基本コンセプトが出来上がってきます。
月例賃金は、基本給再設計と諸手当の意味付を
何らかの資格等級制度を採用されている会社が多いのですが、その昇格などの管理が長年年功的に運用された結果、実際の貢献度と現在の資格等にずれが生じていることがあります。
この資格等級制度は賃金制度にリンクしているため、結果として賃金も年功的になってしまっているケースが目立ちます。改定時は、ゼロベースで見直し新たな区分を設計することになります。
基本給は、会社が期待する社員像のステップのなかで、個々の社員さんの成長段階の立ち位置を表します。入社してまもない人、一人立ちできている人、会社組織の業績を担う人などの大まかな区分が必要です。これを個々の社員さんに示し、成長促進の源とします。
諸手当は、家族手当などの生活関連と役職手当などの業務関連に大きく分けることができます。
現在意味を失っている手当は思い切って整理することも大切です。
賞与は、公平な貢献度配分を
基本給の○ヶ月分といった計算方法で、賞与支給額を決定されている会社が多いと思います。
賞与とは、短期的な会社業績に基づく成果配分です。業績が悪化したときは、支給の原資が減少し、業績が好調なときは賞与の原資が増加します。この支給原資を、社員さんに配分することになります。
年功的に積み上げてきた基本給をベースに計算すると、多少の評価係数を掛けたとしても、業績に大きく貢献している若手の社員さんより、ぼちぼちやっているベテランの社員さんの方が賞与額が多いことにもなりかねません。そして、若手の社員さんは「こんなに貢献しているのに少ない」ベテランの社員さんは「昔に比べて少ない」と不満に思うことでしょう。
賞与は、基本的に個々の社員さんへの成果配分の意味合いが強いものです。よって人事評価を反映させることが大切でしょう。又、業績により支給原資が増減しますので、ポイント制で運用するのも効果的です。
退職金制度は、いる?いらない?
わが社の身の丈に合った退職金制度に再編する。このことが求められている時代です。
退職金は、社員さんが退職したとき、その在籍期間などの応じて多額のまとまった金額を支給することになります。退職者が一時期に集中してしまうと巨額の退職金を支給する必要があり、経営を圧迫することさえあります。制度として現存する限り、しんどいから払えない・払わないは通用しません。
しかしながら、退職金制度があるということは、社員さんの定着率やモチベーションを高め、又社員さんを募集する時には有効な手段の一つと考えられています。
退職金の社外積立制度の大枠が大きく変わり、適格退職年金の廃止、確定拠出年金や確定給付企業年金の創設、中小企業向けの退職金共済制度・・・
まさに、わが社にとって退職金制度とは?を考え直してみるタイミングでしょう。
高齢者の賃金制度づくり
当事務所は、長年高齢者の活用と賃金制度設計のノウハウを蓄積しております。
現在は、在職年金・雇用保険の継続給付を活用して会社からの賃金を抑えるしくみが主流で、多数の企業様のお手伝いをさせて頂いております。
しかし、もうしばらくすると、65歳までは、年金や雇用保険の継続給付もなくなる時代がきます。
定年後の継続雇用で働いていらっしゃる高齢者の賃金は、今後どうすべきてしょうか?
高齢化にともない、良質な労働力としての高齢者の活用は、会社の安定的な発展を援助します。この重要性を考えるとき、通常の社員さん対象の人事評価制度・賃金制度に準ずる制度づくりがポイントとなってまいります。